仮面人間の後を追い、このピンキー砦に辿り着いたものの、時すでに遅し。
部屋はコルト45の弾創と微かな火薬の匂いを残して、もぬけの殻となっていた。
壁にかかった額縁のカフェテラスの女達は不敵な笑みを浮かべ、画きかけの自画像のようになった私を覗きこんでいる…。
私は浴室へ行き、バスタオルで汗を拭った。
このバスタオルは1200匁の業務用スレンか…。
パイルは短いが高密度になっており、ヘム(ミミの部分)は二度縫いして耐久度を高めている。
その分型崩れしにくく丈夫だが、厚手のものが多いので天日干しでは乾くのに時間がかかるかもしれない…。
いわゆるホテル仕様はこのタイプが多いのだ。
そんなことを考えながら、私は部屋に戻ってとぎれた記憶のページを捲る。
仮面人間の正体は誰なのか。
きゃつの目的は一体…。
時計は26時を回り、夜は動物のように静かに潜む。
夜は、鉱物ではない、動物なのだ。
それもあと数時間で姿を変えるのだろう。
つづく。
(嘘。続きません。) パイルアゲイン